ダイヤモンドの原石

ダイヤモンドの原石が出来るまで

ダイヤモンドの原石は、どこでどのように誕生するかご存知でしょうか。 今から10億年以上前、奇跡の産物である地球上で最も硬い天然鉱物、ダイヤモンドは誕生しました。 実はダイヤモンドの原石は、自然界の奇跡が重なり生み出されています。 あまり知られていないダイヤモンドの原石が出来るまでをご紹介いたします。 ダイヤモンドの原石は、自然が作り出した天然鉱物です。 地球の表面下100マイル(161km以上)の地殻と核の間にある、マントルで生成されると言われています。 マントル内は、非常に高い圧力(大気圧の45,000倍の圧力)と温度(1,150℃以上)を有します。 非常に高い気圧で炭素が圧縮され、マントルの持つ高温でダイヤモンドの原石が生成されます。 気圧の高さは非常に重要で、気圧が下回ると炭素はグラファイト(黒鉛)になってしまい、上回る場合は気体になり消失してしまいます。 更に1,150℃以上の温度でしかダイヤモンドの原石は生成されない為、生成される場所もとても限られます。 またダイヤモンドの原石はマグマによって押し上げられ地表近くに出てきます。 その際の速度は時速100km以上と言われ、この速度を下回る場合、炭素はグラファイト(黒鉛)になってしまいます。 このように天然のダイヤモンドの原石が出来るまでの過程には、自然界の様々な偶然が重なり、限られた環境下でしか生み出されない、言わば奇跡そのもの。 希少性が高い天然のダイヤモンドが「宝石の王様」と言われるのも納得するのではないでしょうか。

原石とルースの違い

原石とは、採掘されたままの状態のダイヤモンドを指します。 自然界の様々な偶然が重なり生成される為、1つ1つの原石の品質も生成される過程でそれぞれ異なります。 ダイヤモンドの原石は、全てが宝石になるわけではなく、宝石として使用されるものから工業用になるものまで原石の品質によりいくつかの名称に分けられています。 宝石に使用される原石を“カット“と“研磨“し、加工された状態のダイヤモンドを“ルース“と呼びます。 日本では、裸石とも言われています。 よく原石とルースを混同されることが多いので注意が必要です。 原石とルースでは、ダイヤモンドが持つ最大の特徴“輝き“が違います。 原石の状態では、ダイヤモンドはあまり輝いていないことはご存じでしょうか。 採掘されたばかりのダイヤモンドの原石は、白っぽい色合いをしており、婚約指輪のダイヤモンドのような輝きを持っていません。 “カット“と研磨“を施したダイヤモンドのみに光の反射による輝きが宿り、洗練された加工を施すことではじめて美しい輝きを放つようになります。 ダイヤモンドは、原石の持つ特徴4C、カラット・カラー・クラリティ・カットの他に、原石の品質により輝きが異なります。 宝石として使用される代表的なダイヤモンドの原石の種類、ソーヤブル・メイカブル・ニアージェムをご紹介していきます。

ダイヤモンドの原石の品質・種類について

宝石に使用されるダイヤモンドの原石の種類は、品質の良いものからソーヤブル・メイカブル・ニアージェムと3種類に分かれ、それぞれ希少性、品質、相場が異なります。 ダイヤモンドの原石の品質。種類についてご紹介していきます。

ソーヤブル

ソーヤブルは、二つのピラミッドを合わせたような正八面体の形をしており、ダイヤモンドの原石の中で最も高品質で希少と言われております。 主にロシアやアフリカで採掘され、宝石用のダイヤモンド原石の20%しかありません。 ソーヤブルは、のこぎりで切ること(saw)ができる(able)という意味を持ちます。ダイヤモンドのパウダーをつけた刃で切断して、通常大小2個のダイヤモンドに研磨します。比較的研磨に障害が少なく、形が整っているため効率よく仕上げることができるので、大きさにかかわらず貴重なものといえます。

メイカブル

ソーヤブルに次いで希少な原石が“メイカブル“です。 ソーヤブルが正八面体に対して、メイカブルは形があまり整っていません。 メイカブルは作ること(make)ができる(able)という意味で、形が様々なので、一つひとつの原石の形に対応して研磨されます。メイカブルの中には原石の形は悪くとも良質に磨き上がるものもあり、ソーヤブルに次いで人気があります。

ニアージェム

“宝石に近い”と呼ばれる品質をニアージェムと呼びます。 ソーヤブルやメイカブルよりも品質は落ちてしまいますが、安価な為多く流通しています。低単価なアクセサリーに使用されていることが多く、価格を重視される際にはおすすめです。

ダイヤモンドの原産国

ダイヤモンドが最初に発見されたのは、紀元前の時代のインドでした。 1725年にブラジルでダイヤモンドが発見されるまで、ダイヤモンドはインドでしか発掘されないと考えられていて、ダイヤモンドを“インド石”とも呼ばれていました。 ダイヤモンドの採掘方法の技術も進化し、インドでダイヤモンドが枯渇する頃、ブラジルで新たなダイヤモンド鉱脈が発見され、主要な産地は、インドからブラジルに移ります。 その後アフリカ大陸の各国、南アフリカ、ボツワナ、アンゴラ、コンゴ等から採掘出来るようになり、さらにその後、ロシアでも大きなダイヤモンド鉱脈が発見され現在に至ります。 ダイヤモンドの産地は現在確認されているだけでおよそ20カ国以上存在しております。 ロシア、ボツワナ、コンゴは、“世界三大ダイヤモンド産地”と呼ばれており、ダイヤモンドの産出量が最も多い国です。 世界三大ダイヤモンド産地以外にも、南アフリカ、オーストラリア、アンゴラ、カナダ、中国、ナミビア、ガーナなどがあげられます。 全世界でのダイヤモンドのシェア90%以上が世界のダイヤモンドの産出量トップ6で占めていると言われています。